米国株式アプリ「ロビンフッド」がデイトレーダーに人気沸騰 日本のLINE証券は立ち向かえるのか?

新型コロナウィルスのパンデミックによって世界の株式市場は大混乱をしましたが、米国は4月後半に国民一人当たり1200ドルを支給するなどしたことが功を奏したのか、一時的な暴落を乗り越えてダウ平均株価も上昇トレンドへと復帰を果たしました。

もちろんこれはGAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)を中心に底堅い米国株価の流れが根底にあったのでしょうが、実はこの裏側にネット証券会社のロビンフッド・ファイナンシャルの急激な伸びが影響していたのかも知れません。

ロビンフッドは若者たちに歓迎された

全米の主要都市がロックダウンされてから同社の顧客数の伸びが急加速しています。

2018年には同社の口座数がおよそ500万に過ぎなかったのですが、ロックダウン直後から現在までに3000万以上に跳ね上がっているのです。

顧客の年齢構成を見ますと、20代と30代が圧倒的に多く、所得階層的にも中堅層が多いのは、コロナの影響をそれ程深刻に受けていない階層ということになります。

コロナ対策の支援金が突然のボーナスとして現れ、そこにゲーム感覚で楽しめるロビンフッドの出現でした。

しかし今までの証券会社の顧客数が頭打ちなのに対して、なぜロビンフッドだけが急伸長したのでしょうか?

理由は簡単です。

株式の売買手数料が無料になったことと、株式の取引単位を従来の単元株数(株式を購入できる最低株数)にこだわらずに1株単位や投入金額に合わせて可能としたことにつきます。

また名称が”ロビンフッド”であることから、ウォール街に巣食っている富裕層相手の悪徳金融機関をやっつけて、株式取引を庶民レベルに変えた、いわば”義賊・鼠小僧的スタイル”だったことも影響していると思います。

ロビンフッドは正義の味方か

ツイッターやフェイスブックを始め、グーグルなどの検索エンジンは基本的にインターフェイスが無料でユーザーに提供されています。

無料とは言っても必ずどこかで収入を得なければならないので、大抵は広告が収入源となるのが普通です。

株式取引アプリのロビンフッドでは広告収入をあてにしているわけではなく、大量の顧客から随時得られる消費者の購入傾向などのビッグデータを各証券会社やフィンテック・ヘッジファンドなどへ売りつけることで収入を得ているようです。

この情報によって各金融機関はユーザーがどの銘柄に惹きつけられているのか、あるいは見放しているのかを先読みすることが可能となって、AIの指示で資金投入を決定することになるわけです。

ウォール街とはしっかりと手を結んでいるのであり、単なる勧善懲悪ではありませんでした。

単元未満株に対する日本の証券市場の実態

最近の日本の証券会社も随分と進歩しているように見受けられますが、まだまだ株式取引の手数料無料化は米国程は進んでおらず、唯一肩を並べられるのが単元未満株式取引が可能となっていることでしょう。

取引手数料が完全に無料というところは現在では無く、各社が競っている状況ですが、端株売買可能な格安オンライン証券会社は下記の通りです。

証券会社手数料取引形態
LINE証券日中:料率0.05%(一部の時間帯を除く)
夜間:料率0.5%
1日4度の即時(日中3回と夜間1回で先方指定値でリアルタイム売買)、LINEポイント利用可
SBIネオモバイル証券月50万円までなら何回売買しても税込220円の定額制1日3度の成行のみ(前場と後場の始値のみ)、Tポイント利用可
SBI証券約定代金の0.55%(最低手数料55円)1日4度の成行のみ(後場始値と後場終値、翌日前場始値)、Tポイント利用可
au株ドットコム証券9600円まで:48円
9601円以上:料率0.5%
1日3度の成行のみ(前場と後場の始値のみ)
マネックス証券約定代金の0.55%(最低手数料52円)1日1度の成行のみ(後場寄値のみ)
岡三オンライン証券2万円まで220円、3万円まで330円1日3度の成行のみ(後場寄値のみ)
フロッギー(SMBC日興証券)購入時:無料(100万円以下)1.0%(100万円以上)
売却時:0.5%(100万円以下)1.0%(100万円以上)
1日2度の成行のみ(前場または後場の始値のみ)
 野村證券約定代金の1.1%(最低手数料550円)1日2度の成行のみ(後場終値と翌日後場終値のみ)

LINE証券のみがデイトレード可能なアプリを提供

ラインはロビンフッドと競合出来るのか?

一長一短があるので、どの証券会社にしたらいいのか迷うところですが、LINE証券以外は全て成行約定のみとなっていますので、デイトレードをするのには不自由を感じることになりそうです。

LINE証券にしても単元未満株売買は手数料は無いことになっているのですが、ザラ場で売るときには0.05%が差し引かれて、買うときには0.05%を加えなければならず、いわばFX取引の「スプレッド」に当たるものを加味しなければならないため、実質的な手数料と言えるでしょう。

それでもデイトレードの感覚を味わえることになりますので、多数出ているスマホアプリの中では特筆に値するかも知れません。

やはり米国は資本主義の総本山だ

米国のロビンフッドは手数料が殆ど無料のままに素人デイトレーダーにも受け入れられているので、倒産寸前の駄目銘柄さえも値頃感から大衆に買われて生き返るという信じ難い離れ業を演じることもあるのです。

2兆円の負債を抱えて5月22日に破綻したレンタカー世界第2位のHertz(ハーツ)の株式は紙屑同然となっていたのですが、ロビンフッドユーザーに値頃感から買われて人気となって急騰した挙句、Hertzが新株発行を申請して裁判所に認められる異例の展開となったのです。

まさに「ロビンフッド・ラリー」と呼ばれる相場状況を米国株式市場にもたらしているのです。

しかし良いことばかりではありません。

アレクサンダー・カーンズ君という大学生もロックダウン中にロビンフッドを通して株式投資を始めたのですが、ある日、アプリを開いたら身に覚えのない赤字額730,165.72ドルが表示されていたのです。

膨大な赤字をつくってしまったとショックを受けた気の弱い彼は、誰に相談するもなく直ぐに自殺してしまったのですが、これはロビンフッドの仕様上の不手際が原因とされており、彼の口座には16,000ドルが残されいたそうです。

良きにつけ悪しきにつけ米国は資本主義の総本山であり、株式相場の大衆化は自由経済の裏と表をさらけ出しているのかも知れません。

風雲児ロビンフッドの日本上陸は近い

ロビンフッドは遅かれ早かれ日本上陸をするでしょうが、日本の証券会社で太刀打ちできるところは無いものと思われます。

手数料の無料化はインターネット時代の要請でありますから、好むと好まざるとを問わずに直面しなければならない課題を突き付けられているのです。

もっとも時代の風雲児ロビンフッドは仮想通貨の手数料無料での取引所としての進出も果たしていることを考えれば、日本の状況をはるかに凌駕して進んでいることは間違いないでしょう。

東京証券市場において、果たしてロビンフッドと対等となるネット株アプリの登場は期待出来るのでしょうか?