台湾総統選での蔡英文氏の圧勝は中国の「一国二制度」による香港弾圧への批判

11日に投開票された台湾総統選は、中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めた。写真は与党・民進党本部前に集まった蔡陣営の支持者。1月11日、台北で撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

新冷戦時代も新局面に突入

台湾の総統選挙で現職の蔡英文氏が圧勝した。

あらかじめ予想がついたことであったが、今回の選挙の勝因は香港の「一国二制度」拒否の成果である。

そもそも中国共産党という独裁政権下で「一国二制度」などというのは言葉だけのまやかしに過ぎず、警察だけで軍隊を持たない香港では民衆の「表現の自由」や「結社の自由」など簡単に弾圧されてしまうことは今までの経過で明らかにされている。

2020年1月12日 / 09:26 / 21分前更新

台湾総統選、現職の蔡英文氏が圧勝 対中関係さらに緊張

11日に投開票された台湾総統選は、中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めた。写真は与党・民進党本部前に集まった蔡陣営の支持者。1月11日、台北で撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

11日に投開票された台湾総統選は、中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めた。写真は与党・民進党本部前に集まった蔡陣営の支持者。1月11日、台北で撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

[台北 11日 ロイター] – 11日に投開票された台湾総統選は、中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めた。軍事的なムチと経済的なアメを使って自国制度の受け入れを迫る中国との緊張が、さらに高まる可能性がある。

今回の選挙は民主化を求める香港の反政府活動が大きな争点で、蔡陣営は台湾がデモ参加者の希望だと訴え、中国が提案する「一国二制度」を拒否。過去最多となる約820万票を獲得し、親中姿勢を取る最大野党・国民党の韓国瑜高雄市長を260万票以上の差で破った。

蔡氏は勝利後、報道陣に対し「政府が人々に選ばれた民主的な台湾は、脅迫と威嚇に屈しない。中国はそのことを理解すべきだ」と語った。蔡氏の与党・民進党は、議会に当たる立法院選でも過半数を維持した。

~以下省略~

参照元:REITERS

 

中国は「経済」を「安全保障」と連結させている

自由主義社会は今、「政治」と「経済」の両面での共産主義からの攻勢にさらされている。

「共産主義計画経済」の方が「自由主義経済」よりも優れているという主張は、東西冷戦がベルリンの壁崩壊によって潰えて、ソ連邦の後継国となったロシアが経済的に破綻状態となったことや、自由主義陣営が一定程度の社会主義的政策導入によって自由の中にも計画性を取り入れたことで敗れ去ったように見えた。

しかし中国は世界人口77億人の約20%近くを占める14億人という驚異的人口を抱えており、国全体を支配するには自由主義では困難であったため、強権的支配が可能な共産主義に頼って建国をしている。

共産主義支配が最上位に位置する中国でも、鄧小平時代には自由主義経済の申し子ともいえる資本主義を取り入れた「改革開放経済政策」を推し進めて、最終的に現在のGDPを世界第2位にまで押し上げることに成功した。

現在の米中貿易戦争の背景として問題となっているのは、中国企業が資本主義的な自由を持っておらずに中国共産党の出資によった国営企業だったり、あるいは資本蓄積がされて上場している中国の私企業が中国共産党のコントロール下におかれており、自由主義の国際標準からすると中国共産党の手下としか見えない行動をしていることである。

その代表がファーウェイ社で、知的財産権を違法に盗窃したり、同社製の電子機器にスパイチップを埋め込んで知らぬ間に個人情報を抜き取っているのではという疑惑に曝された。

「経済」が「安全保障」と直結されたのである。

米国型自由主義が浸透している台湾

米国のトランプ大統領でさえ弾劾を受けて退陣させられるかも知れないのが自由主義社会の強みでもあり弱みでもある。

共産主義中国では習近平主席も民主的な選挙によって選出された選良という訳ではなく、いつクーデターにあって暗殺されるかも知れず、最終的に自己保身の道具として「一党独裁」の共産主義イデオロギーに頼っている。

一国二制度」と「一党独裁」とは矛盾した概念であるが、優先順位は初めから決まっているので、香港の「民主化運動」が共産党指導部の邪魔になることは当然であり、「一国二制度」の形骸化こそが中国共産党の狙いであった。

全世界が中国共産党の建て前の欺瞞性を知ることとなり、中国政府の本音が香港の独立派の弾圧にあることを、学生たちのSNSを使った報道で目撃している。

台湾に逃げた香港のデモ参加学生たちは皆、与党・民進党を応援して、蔡英文総統の再選に寄与したことは間違いないのだ。

香港の攻略に続いて台湾も「一国二制度」を押し付けられて、徐々に中国のものとなるかも知れないという恐怖感に台湾民衆が襲われたことが、今回の選挙結果となったのである。

中国の覇権主義を封ずる東アジアの連帯が必要

中国の国家戦略を理解する上で見逃せないのが、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」による覇権主義に基づいていることである。

もちろん「一帯一路」は経済的な意味合いのスローガンであるが、その推進を効率化するために、軍部による領域拡大も附随することになる。

「中国国防省は東シナ海防空識別圏を設定した」と中国のマスメディアが報じているが、この中には日本の領土である尖閣諸島も含まれており、南シナ海へも中国軍による軍事基地化が強力に進められている。

沖縄までも元々は中国の領土であったという覇権主義の野望は留まるところを知らず、米軍基地撤去運動のグループに対する心理的侵略や、本土左派グループへの浸透も拡がっている。

そのため日本を始め、台湾はおろかベトナムやフィリピンなどとも国境紛争を抱えることになり、米軍のプレゼンスが無ければとっくに侵略されていただろう。

今日の香港は明日の台湾、明後日の沖縄と、自分のこととして捉えるか、あるいは遠い異国の出来事として横を向いてしまうかが問われている。

「一党独裁の 専制支配」に抗するのは「多国籍の民主主義による連帯」以外にないのである。