武漢ウィルス蔓延に対するWHOの緊急事態宣言と米国務省の警戒感にある温度差

米国が中国への「渡航禁止」を勧告/Kevin Frayer/Getty Images

中国への渡航禁止措置は出さないのか?

湖北省武漢を発生源とする新型肺炎が世界中に危機感を醸成しています。

日本も邦人救出専用機を派遣しているのですが、国内での病床手配が間に合わずに、入国者を相部屋隔離するという、余りに心許ない受け入れ態勢となっています。

今のところ日本政府が中国への出国禁止措置をとる可能性は少ないようです。

当然のことながら中国からの入国禁止措置も同時にとらなければなりませんが、日中友好に対して足を引っ張られるかも知れないという危惧が先に立って、中国政府が国内と国外への団体旅行の禁止を打ち出してくれたことにホッとしたと言うのが実情でしょう。

肝心の国会予算委員会でも中国の新型コロナウイルスへの質問は、昨年来の「桜を見る会」で総理の招待客が余りに多すぎるという、どうでもよいことに大半を費やされて、全く無視されていました。

経済的打撃と入国禁止を秤にかける日本

昨年の訪日外国人(インバウンド)の数は累計で約3188万人にのぼって、そのうち中国からは約960万人が訪日しているので、国・地域別ではトップとなっています。

更に、年間の訪日外国人の約3分の1を占める中国人をシャットアウトすることになると、約100万人が来なくなるだけで日本の経済損失がインバウンド消費以外の波及効果を含めて2500億円程度になると専門家は見ています。

日本人の中国武漢市への渡航は禁止が出来たとしても、全面的出国禁止措置となると経済的損失に拍車をかけることが予想されるので、全く考えられません。

やはり、人道的問題と絡めて禁止措置発令を躊躇っているものの、本当は経済的打撃が怖いために入国禁止措置に踏み切れないでいるのは明らかです。

警戒レベル4の渡航禁止で速やかな対応をしている米国

一方、米中貿易戦争に奇しくも水を差された米国では中国への渡航禁止措置を打ち出しています。

CNNの報道によりますと、米国では独自の運用レベルを設定しており、WHOの緊急事態宣言と同時に、一番危険な段階に引き上げたそうです。

「中国へ渡航してはいけない」、米国務省の警戒レベル最大に

2020.01.31 Fri posted at 15:30 JST

米国が中国への「渡航禁止」を勧告/Kevin Frayer/Getty Images

米国が中国への「渡航禁止」を勧告/Kevin Frayer/Getty Images

(CNN) 米国務省は30日、新型コロナウイルスの流行に関連して、中国への渡航に関する警戒レベルを4段階で最も高い「渡航禁止」に引き上げた。

国務省の警戒情報では、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスを理由に「中国へ渡航してはいけない」と述べ、世界保健機関(WHO)が同日、新型コロナウイルスについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したと指摘した。

~以下省略~

参照元:CNN.co.jp

米国の国務省では入国についても細かな段取りが出来ていて、今回のような疾病絡みの場合には受け入れ側は米軍基地を使用することで、一般国民との接触を避ける手配が出来ています。

普段から危機対応が徹底していますので、WHOの宣言待ちをしてからどうするかを”検討”している日本とは大分認識が違うようです。

「報道関係者各位へ」として出された厚生労働省のサイトには武漢市のコロナウィルスについての細かな説明がされていますが、お終いのあたりで「国民の皆様へのメッセージ」を読んだ時には、余りの余裕振りに開いた口が塞がりませんでした。

◆国民の皆様へのメッセージ

○新型コロナウイルス感染症は、我が国において、現在、ヒトからヒトへの感染が認められましたが、現時点では広く流行が認められている状況ではありません。国民の皆様におかれては、過剰に心配することなく季節性インフルエンザと同様に咳エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策に努めていただくようお願いいたします。

○武漢市から帰国・入国される方あるいはこれらの方と接触された方におかれましては、咳や発熱等の症状がある場合には、マスクを着用するなどし、事前に医療機関へ連絡したうえで、受診していただきますよう、御協力をお願いします。また、医療機関の受診にあっては、武漢市の滞在歴があることまたは武漢市に滞在歴がある方と接触したことを事前に申し出てください。

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(令和2年1月30日版)

武漢市にある生物化学実験施設とは

確かに中国政府は国家を上げてウィルスの封じ込めをしていますが、果たしてどこまで信用出来るのでしょうか。

当初、武漢市に滞在する日本人の救出のために政府専用機を派遣することを打診したら、これは防衛省航空自衛隊が管理および運用をしているとして拒絶をされて、民間機以外の飛行を許可してもらえなかったのです。

政府専用機が武漢市上空を飛行したら不味いことでもあるのでしょうか。

非常事態と認識している割には、まるで敵機の侵入を許すわけにはいかないかのような態度に疑問を感じてしまいます。

実は武漢市周辺には中国人民解放軍の秘密実験施設が2ケ所存在しています。

「中国科学院武漢病毒研究所」の傘下にある「武漢国家生物安全実験室」と「武漢生物製品研究所」という致死性ウィルスの研究施設で、今回のウィルスが最初に発見されたとする海鮮市場から約30キロというところに位置しています。

軍事専門家によると、どちらかの施設からウィルスが漏れた可能性が指摘されており、もし事実ならば「バイオハザード」の恐怖が現実化したことになります。

どうやら世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は事件発生当時から中国政府に不自然に好意的で、世界各国が規制措置を取り始めたことから、遅ればせながら「中国政府は並外れた措置をとっている」と高く評価しました。

そして「中国自体に問題があるわけではないが、医療設備の整っていない開発途上国に感染が広がるのを防ぐため」と言い訳をしつつ、渡航や貿易を制限する勧告は行わないとしながらも「緊急事態」を宣言したのです。

勇気をもってオオカミ少年となることで日本国民を守ろう

自然災害の予測ほど政府や総理にとって悩ましいことはないでしょう。

台風の被害にしても余りに悪く想定して、結果、大したことは無かったということがあるかも知れませんが、もし被害が想定を遥かに上回っていたとなれば、気象庁の責任者はクビを切られかねません。

ですから政治家はWHOの所為にして責任回避をしたいのでしょうが、致死性ウィルスの感染が軍事的不始末によって起こったとすれば、呑気に「桜」などを見ている暇は無いはずです。

総理はオオカミ少年と言われても国民の生命を守らなければなりません。