中国がハイテク企業の国有化で進める覇権主義の浸透を阻止しなければならない

重要産業の国有化の流れは強まっている(美亜柏科の製品体験センター、同社サイトから)

「国進民退」の中国による覇権主義が招く世界戦争の危機

民営企業への政府のコントロールが強まり、民間事業が圧迫される「国進民退」が進んでいる。

米国のトランプ大統領は生来の相場観から、中国の覇権主義が自由主義社会を脅かしていることを自覚し、米中貿易戦争とまで呼ばれた経済戦争を仕掛けた。

従来の自由貿易協定(FTA)が自由主義陣営同士の間だけならば左程の問題は起こらなかったのだが、共産主義中国の経済的台頭を許すことによって、自由経済社会が根底から脅かされてしまったのだ。

自由主義国の企業では国営化は鉄道や警察、軍隊あるいは水道施設などの社会インフラに限定され、他の産業では民間企業が中心になっているが、米国では鉄道、水道、エネルギーなどの部門でさえ民営化が進められている。

そして我が国でも独占禁止法によって企業が余りに巨大化するのを防いでいる。

このような自己制約をしているのは、野放図な企業の巨大化を許すと、止めどもなく海外市場を求めて進出することにより、競合企業と衝突して世界大戦に至った過去の歴史を反省したからであった。

第二次世界大戦を経済学的に観察すれば、主に巨大商社や重工業を中心に帝国主義国家群による軍事力を伴う市場の再分割に起因していたと言える。

現代はハイテクと情報革命の時代に入り、中国政府は国策として中華企業を対象にハイテク関連企業へ補助金を支給しながら、中国共産党が中小企業を支配しており、大企業は国家が主要資本に入ることでコントロールしている。

どこの国でも一定程度の補助金によって特定の産業を育成するということはあるだろうが、共産主義中国ではそれが特異な形で行われている。

中国、19年にハイテクなど44社国有化 産業保護強める

2020/1/16 15:00

【北京=多部田俊輔】中国の民営上場企業44社が2019年に国有企業に転換した。米中貿易戦争で打撃を受ける恐れがあるハイテク分野の企業を政府の資金によっててこ入れするケースが目立ち、国有化された44社の合計の時価総額は4兆円規模に達する。トランプ米政権は中国の先端企業への補助金などの政府支援を取りやめるよう求めてきたが、中国側はむしろ米国との対立長期化に備えて重点産業の保護を強めてきた実態が浮き彫りになった。

重要産業の国有化の流れは強まっている(美亜柏科の製品体験センター、同社サイトから)

重要産業の国有化の流れは強まっている(美亜柏科の製品体験センター、同社サイトから)

米中両国は15日、貿易交渉を巡る「第1段階の合意」に署名しており、近く中国の知的財産保護や中国企業への補助金問題などを巡る第2段階の協議に入る。今後の米中交渉でも米側が中国のハイテク企業の国有化を問題視するのは必至だ。

~以下省略~

参照元:日本経済新聞

 

究極的な管理国家としての共産主義中国の誕生

イギリスの作家ジョージ・オーウェルの「1984年」というSF小説があった。

日本では中曾根康弘氏が総理を務めていた時代だが、この小説は1948年に発表されており、4と8を入れ替えたアナグラムではないかと言われている。

思想・言語・結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられ、物資は欠乏し、市民は常に「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビジョン、さらには町なかに仕掛けられたマイクによって屋内・屋外を問わず、ほぼすべての行動が当局によって監視されている。

フリー百科事典ウィキペディア「1984年 (小説)」より引用

全体主義国家の危険性を指摘したものだが、まさに現代の共産主義中国を思い起こさせる。

顔認証システムや生体認証技術を導入して、街中の隅々まで監視カメラを張り巡らし、「犯罪とテロの抑止」を大義名分に全国民の個人情報を国家が管理している。

香港の反政府デモの参加者の多くが覆面をして顔を隠していたのは、写真に撮られることによって個人が特定されて中国内地の強制収容所へ送られることを危惧したからに他ならない。

「犯罪とテロの抑止」という合言葉は市民社会に中国のような国家管理社会の到来を許容するかも知れず、東京オリンピック開催を控えた我が国でも警察の捜査技術の向上を目指して、同様の危険性が指摘されている。

しかし我が国は自由主義を掲げているので、警察の捜査も厳密に違法な犯罪者に対してだけに限定されており、共産主義の公安警察のように令状無しの身柄拘束などは不可能となっている。

経済的に自由貿易協定(FTA)の範疇にあることとして中国の台頭を許すことは、政治的に自由主義体制を捨てて共産主義体制に組み込まれることに他ならない。

わたしたちは自由主義と自由貿易を同じものと思い込んでいるが、共産主義でも自由貿易を主張していることを忘れている。

強大な共産主義権力に支配された中国の大企業に対抗出来る民間企業は殆ど無く、放置すれば全ての市場が中国に席捲される危機の時代に突入したのかも知れない。